九州オールトヨタ つながる九州

前田崇治

「コーヒーを通して、みんなに還元したい」

人々に癒しを与える飲み物として世界中で愛されている、コーヒー。

熊本県にある「And Coffee Roasters」店主の山根洋輔さんは、そんな一杯のコーヒーに魅せられ、ロースターとして人生を歩み始めた人物です。

おいしいメニューの提供だけでなく、社会や地域に貢献しようとアクションを起こし続けている山根さん。嗜好品から生みだされる彼の「挑戦」にスポットライトを当ててみました。

東京出身、26歳の青年が
熊本でコーヒーショップを
開いたワケ

山根さんがコーヒーの魅力に気づいたのは、交換留学でニューヨークへ渡った大学生のころ。現地では、外国人のルームメイトと共に行動することが多く、そのうちのひとりが「コーヒーを飲まないと授業に行かない!」というほどのコーヒー好きだったそうです。

毎朝食堂でコーヒーを飲むのはもちろん、放課後もカフェへ......。当時の山根さんは特段コーヒー好きというわけではなかったものの、彼のおかげですっかりトリコに。気がつけば自分ひとりでもカフェへ通うようになりました。

このニューヨークでの経験や「好きなことを仕事にしたい」という思いもあり、帰国後はバリスタ・ロースターの道へ進もうと決心。熊本県に自分の店をオープンする計画を立てました。じつは山根さんの出身は東京。勝手知ったる場所ではなく、なぜ熊本なのか?それは、東日本大震災が大きなきっかけになったからだと言います。

「震災は地方に目を向けるきっかけになりました。ゼロからやったほうが息長く続けられると思いましたし、妻の地元ということもあって熊本を選びました」

店名は「コーヒーを通して、人と人とを繋げたい。多くの人の暮らしの向上を目指したい」という山根さんの想いを込め「And Coffee Roasters」に。

2013年、26歳という若さで開業できたものの、資金も潤沢にあるわけではなく、大変なことばかりだったと言います。しかし、オープン翌日から常連になってくれたご年配の方をはじめ、近所に住む人たちの心地よい距離感に感動を覚えたと言います。

「自分はコミュニケーションをとるのが苦手だと思っていたんですけど、土地柄もあって馴染むのが早かったですね」

熊本に住む人たちの温かさに触れた「And Coffee Roasters」は、いつの頃からか、山根さんが目指す「繋がり」を生み出すコミュニティの場となっていました。

震災をきっかけに強くなった
「熊本」への想い

順調にカフェを営んでいたものの、2016年に熊本地震が発生。この出来事は「And Coffee Roasters」の今後の方向性を決めるターニングポイントとなりました。

お店自体に大きな被害はなかったものの、来店するお客さんはゼロに等しい。そんな困っている状況のなかで助けてくれたのは、同じくコーヒーショップを運営している遠方の先輩や仲間たちでした。卸先を紹介してもらうなど、彼らからの支援でなんとか営業を継続。同業者の行動が店を救い、山根さんへの励みとなっていきました。

そんななか、自分たちができることとして、避難所でオリジナルコーヒーを配布する活動を開始。被災している方々の笑顔を見たとき、山根さんはあることに気づいたそうです。

「コーヒーは、水と豆さえあればできるし、一瞬だけど『日常』を取り戻してくれる。改めてコーヒーの素晴らしさを感じましたね」

コーヒー仲間や、これまで来店してくれた近所の方への感謝も相まって、ますます地域貢献したい気持ちが芽生えた瞬間でした。

ここ数年のあいだにも、熊本にはさまざまなコーヒーショップが出店。お互いのお店を行き来したり、焙煎機をシェアしたりと、震災で学んだ「助け合いの気持ち」を忘れず、横のつながりも大切にしているそう。

しかし、熊本にはまだ地域にカフェが当たり前にあり、人々が店に自然と集まる「コーヒー文化」が根付いているとは言えない状況なのだとか。

「あと2~3年......もっとかかるかもしれませんが、お客さんと共に自分たちも成長していくことが大切だと思います」

コーヒーを通じて実現する
”社会貢献”とは?

ニカラグア、ルワンダなど、コーヒー豆の産地を巡った際、ある問題意識が芽生えたという山根さん。それは「産地への還元ができていない」ということです。

問題解決の第一歩として、生産者団体「Good coffee farms」を通して、グアテマラの小規模生産者(農家)との農業をスタート。現地で作ったコーヒーを、日本で販売する取り組みを始めました。

山根さんは、現地で働く人にしっかり対価を与えられているのか、サステイナブルな姿勢で取り組んでいるのか......同じ方向を向いている生産者とのみ、契約を結ぶと言います。

この活動はいつの間にか、仕事をするうえでの“楽しみ”に。滅多に出会えない生産者と話すことができるので、競合他社と差別化できるのはもちろん、作っている場所(ウォッシングステーション)の清潔さや、働く人・環境に配慮しているのかなど、直接チェックできるというメリットもあるそうです。

また「And Coffee Roasters」では、豆だけではなく軽食の食材にもこだわります。熊本の農家さんのもとへ直接足を運び、地元の方にも馴染み深い味を厳選し、提供しています。

つねにお客さんや生産者に目を向けて、コーヒーを取り巻く環境をアップデートしようと取り組む「And Coffee Roasters」。今後は、どんな「&」につながるアクションを起こしてくれるのか、つい期待してしまいます。

そんな山根さんが活躍する
熊本の街で乗りたいのは、
このクルマ!
LAND CRUISER PRADO
[ランドクルーザー プラド]

「アウトドアが好きなんですけど、ランクルには自然も街中も両方が似合うカッコよさがありますよね。乗り心地も揺れが少なくて快適ですし、天井が高くて広々した室内にも驚きました。あとは3列目のシートアレンジがボタンで簡単にできるのもいいですね。これなら乗る人や荷物の量に応じてフレキシブルに活用できそうです。」

山根 洋輔さん

And Coffee Roasters・店主
米・ニューヨークへの留学をきっかけに、コーヒーの世界へ。2013年、妻の実家がある熊本県で「And Coffee Roasters」をオープン。熊本震災時には、避難所でコーヒーを配る活動が話題に。現在は消費者だけでなく、海外の生産者にも目を向け「Good coffee farms」を通じて、農業視点からの活動も行っている。

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